電子ドラムとは

電子的なプロセスで音を出すドラムのことで、エレクトロニックドラム通称エレドラといわれています。アナログシンセを鍵盤の代わりに、パッドを叩いて音を出すといったものでゴムで出来たパッドやメッシュのヘッドが張ってあります。叩くことによって生じた振動をセンサーでキャッチし、その電気信号を音源モジュールへ送り音源に割り振られたサンプリング音などをヘッドフォンで聞いたりアンプやスピーカーに伝えて電子的に音を出すドラムです。

※生ドラムのヘッドなどに取り付けられた”トリガー”というものも電子ドラムと同様に振動をキャッチして音源から音を出すものですが、普通はトリガー付の生ドラムは電子ドラムの部類に入れません。

電子ドラムの歴史

世界最初に認知された電子ドラム (1970年後半)

ポップスに電子ドラムの音を聞くようになったのは1970年代の後半。世界で最初に認知された電子ドラムといえば、アメリカのポラード社製のシン・ドラム(SYN-DRUMS)です「ピョーン、ピョーン」といかにも電子的な音が特徴で、主にテクノポップとよばれる音楽で使われていました。YMOの「ライディーン」やピンクレディーの「サウスポー」でも使われていたのが有名です。このシン・ドラム(SYN-DRUMS)は、アナログ・シンセを鍵盤の代わりに、パッドで叩いて音を出すようなもので、今ではビンテージショップなどでも入手困難な幻の楽器となっています。

SYN-DRUMS SYN-DRUMS

1978年、日本の東洋楽器社が、このシン・ドラムを参考にしてほぼ同じスタイルのアルト・サウンド(ULT-SOUND)を発売。当時は電子ドラムを「シンセ・ドラム」とか「シンドラ」と呼ばれていました。

一世を風靡したシモンズ社の製品(1980年前半)

次の世代となるになると、イギリスのシモンズ社が六角形のパッドを発表します。六角形の斬新なデザインで一世を風靡したシモンズ(SIMMONS)です。 この時期からパッドは現在のようなバスドラムとスネアやタムがセットになり、最初のモデルは当時で約100万円もしました。

SIMMONS SIMMONS
国内メーカーの参入と開発(1980年代中期)

1980年代中期になると国内でもさまざまなメーカーがそれぞれのアプローチで電子ドラムを開発し発表します。PEAL社のDRX-1、TAMA社のTECH500、YAMAHA社のPMC1、Roland社のDDR-30、などの登場です。1987年頃には計算機で有名なCACIOからもDZ-1という電子ドラムが登場しています。

DRX-1 PEAL社 DRX-1
DDR-30 ROLAND社 DDR-30
DZ-1 CACIO社 DZ-1
各社、電子ドラムからの撤退(1980年後半)

しかし1980年代後半になると電子楽器に対してほとんど馴染みのなかったドラマーにとってエレドラというものはとっつきにくく、このあたりから次々と各社撤退していくこととなります。

2大勢力による意欲的な取り組み(1990年前半)

1990年代前半になると現在2大勢力となっているRoland とYAMAHAがハイクオリティな音源モジュールと限りなくアコーステックドラムに近い感覚の得られるパッドを組み合わせたシステム開発を意欲的に取り組みます。Rolandではリムショットなどをパッドで発音させる”CONPACT DRUM SYSTEM”。YAMAHAではDTS70などの音源モジュールから得たノウハウをいかした”TMX SYSTEM”`などを発表しこれまで電子楽器に馴染みのなかったドラマーにも実用に堪えられるエレドラとして評価を得られるようになります。

世界初、メッシュヘッドを採用した電子ドラムの登場

1997年、Rolandから電子ドラム初のメッシュヘッドを採用したV-Drum が発売される。 ※メッシュヘッド
2枚の網状素材を重ね合わせた素材

メッシュヘッドを採用したV-Drum メッシュヘッドを採用したV-Drum
電子ドラムの開発競争(2008年現在)

現在2大勢力であるRoland とYAMAHAの開発競争と現代のエレクトロニクスの進化によって前世代とは比較にならない性能とデザインを実現しています。

図解!電子ドラム

電子ドラムは複数のパッド類と音源モジュールから構成されています。

要となるのは、パッドの信号を音に変換する「音源モジュール」になります。パッドは音源モジュールを発音させるための道具的な役割となります。また、パッドや音源モジュール単体では「電子ドラム」とは呼ばれていません。パッド類と音源モジュールの2つがセットで「電子ドラム」と呼ばれています。

下記の図は、電子ドラムの信号の流れと、モニタースピーカーやヘッドフォンへの信号の流れを表した図です。

図解!電子ドラム

価格相場について

現在、電子ドラムの最安値は5万円台から存在します。

機能や記憶された音色数、操作性やその他のオプションなど、評判のよいモデルとなると最低でも10万円からといったところが相場となります。

メッシュヘッドを採用したローランド(Roland)のV-Drumなどは、消音性や実際のレコーディングに対応するなど人気がありますが、価格が20万円からと高価なため手が出しにくいところがあるようです。

生ドラムを製造しているヤマハ(YAMAHA)の製品などは、生ドラムの分野においても好評なドラム音色などを音源モジュールに搭載するなど、生ドラムメーカーならではの強みを押し出した製品を発表しています。

さらに価格においても初心者から中級者向けへ7万円ぐらいから15万円くらいにかけて存在し、ユーザーの目的にあわせて選ぶことができます。

最近はRolandからもエントリーモデル的位置づけにあたるTD-3KitやHD-1など8万円くらいからの製品が発表され、ユーザーには嬉しい競争となっています。

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